人生墨まみれ vol.1 〜竹内朱莉って素晴らしい〜

ツイートにするには感想が長くなってしまったのでこっちに残しておきます。

 

連載スタート

ついに今日(2021年3月17日)、竹内朱莉さんの書道連載「人生墨まみれ」が雑誌S cawaii!にてスタートしました。

 

これまでインスタやグッズ制作などを通じてコツコツと自分の書を発信し続けてきた竹内さん。今回の連載は一つの集大成であり、彼女の未来を決める大きな第一歩でもあります。

 

どんな書を作ってくれるんだろう。どんなメッセージを伝えてくれるんだろう。

わたしはそんな気持ちでドキドキしながら雑誌を買って開きました。

見開き2ページの特集。竹内さんのために割かれた誌面ってだけでももうめっちゃ嬉しいんですけど、中身にも「竹内朱莉」という人間の素晴らしさみたいなのがそこかしこに詰まってて、竹内さんのことが大好きなオタクはなんだかすごく感動していました。

 

以下、そんなオタクの感動と絶賛の嵐をまとめた感想文です。

実際の書は雑誌を買ってみてもらいたいのでここには載せられませんが、できれば紙面を読んだ後で見ていただいた方がわかりやすいかと思います。

 

一応説明しておくと、この企画は竹内朱莉さんの「書のスタイル」を連載していく書道エッセイで、毎号4枚ずつコンセプトに合わせた書(正確にはそうではないのですが後述します)を発表しています。(本誌の説明より)

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https://www.instagram.com/p/CLrLCR-lvej/?igshid=1pe6cjqjk9r0y

右ページがインタビューと竹内さんの写真、左ページに4枚の書が載っているという構成。

4枚の書について一つ一つ感じたことをまとめていきます。

 

①感謝

横の解説で本人が語っているように、この言葉だけはかっちり丁寧で素直な書きぶり。少し緊張しているのかやや固い筆の運びからは、彼女の照れ笑いが見えるような気がします。
全体的に素朴で凛としていて、でも大胆でおおらかな彼女の感性が滲み出てるように感じました。

 

なにより一番最初に選んだ言葉が「感謝」というのが竹内さんらしくて好き。

インタビューで話していますが、今回の作品は先に書く言葉を考えてから後で『人生』というコンセプトを決めた様子。つまり、何よりも最初にできたものが「感謝」であるってことになります。
普段はありがとうありがとうってそこまでしつこく言わないタイプな竹内さんですが、ここぞというときにそういうことをドン!と表現してくれるところ、すごく惚れます。超超惚れてます。

 

 

②大器晩成

竹内さんがことあるごとに書いている文字。

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https://www.instagram.com/p/CCBBlWllGpA/?igshid=a99zot98day1

↑こちらは18歳の時に書いた「大器晩成」。

 

多分世に見せてるもののの中では今までで一番作品数が多い言葉なんじゃないかな?と思います。

スマイレージアンジュルムになったあと最初に発表されたシングルの表題曲の名前。彼女の中で「書」と「アンジュルム」を繋いできた大事な言葉でもあり、10年にわたるグループ活動の末に今ではリーダーとしてアンジュルムの柱となっている彼女を最も形容する四字熟語といえるかもしれません。


たくさん書いているからこそなのか、「大器晩成」は特にくずしや遊び心があるように感じます。一番力が抜けた自然体な構えになっているとも言えるかも。

「大」の一画目はドンと構えた野太い一筆、でも二画目は起筆と終筆に力が入っているところを除けばスッと一本芯が入ったようなしなやかな印象を受けます。
「晩」の漢字はかすれやうねりを多く使っていて、これだけかすれると普通は荒々しい印象になるような気がする。でもこの書からは、不思議となんだか見てるこっちを包み込んでくれる優しさすら感じられます。
獣のような目で髪を振り乱しながらも時に柔らかくしなやかに舞い踊る、勢いはあるが決して荒削りではない技量で魅せる。ステージでの彼女の輝きに通ずる魂が見えてくる作品です。

 

③愛

愛。言うまでもなくアンジュルムを象徴する言葉です。

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https://www.instagram.com/p/CAPIzApjmbL/?igshid=r5d880evr0mb
去年インスタでも同じ字を書いていたので見比べてみると、アルファベット以外の部分も似てるようで少し違うことがわかります。

 

解説で本人が話しているように、最後の画のはらいがすごい。まるで空へと翔んでいく鳥のように三度うねって大きく跳ね上がっています。

そう思って前の「愛」を見てみるとこっちは少しこじんまりしていて、何となくはにかみながらちっちゃく指ハートしている竹内さんが目に浮かんでそれはそれで可愛いんですよね。


話を戻すと、今回の書で表現してる「愛」からはもっともっと大きな世界を感じました。

鳥が翔び立ったあとの広い空。彼女の慈しみの眼差し。つまり「愛」です。らぶ。

 

④道

寝落ちする直前に布団の中で思いついたという「足裏を墨まみれ作戦」。
足跡が「道」のちょうど一画目を成しており、一筆目の要領で足裏スタンプをしてから毛筆で他の画を完成させていることがわかります。

 

次に「道」という文字について。これも以前インスタにあがっています。

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https://www.instagram.com/p/CJIiQ4tFAVu/?igshid=3wcxsfb81988

以前の投稿は同じ字で色んな書体・筆の流し方を使って色んな「道」を表現する、といったコンセプトでした。ちょうど船木結さんと宮本佳林さんが卒業した頃なので、なにか旅立つ人の背中を押すようなメッセージが込められていたように思います。


今回の書は前に書いたものとの比較で言えば1枚目の「いつものタケ」みたいな書に少し似ています。でもよく見ると結構違う『別物』です。もっと言えば、この書は彼女自身の「道」をもっと深掘りした一作になっているように思います。もう少し細かく見ていきましょう。

 

一画目の足跡が大きなインパクトになっているのは見てわかる通りです。

しかしそれだけでなく、このズシンと振り下ろされた一打が作品全体に重みを与えているような印象を受けます。まるで彼女がこれまで歩いてきた道や通り過ぎてきた記憶の厳しさ険しさを表しているかのように。

それでも印象が重苦しすぎないのは、少しバランスが中心からはみ出している二画目と最終画があるからという気がします。

足跡が示す強い軸をちょっとだけ外した遊び心が「道」の空間的な幅を拡張しているというか。


そう、竹内さんはしんどくても明るく笑いつづけることを忘れないから強いのです。

強くて芯の通った軸とおおらかで自由な遊び心が竹内朱莉という人間を強くしている。わたしはそう思っています。

 

また、全体をよく眺めていると足跡を基軸として描かれた「道」の字はしなやかで割と丁寧に書かれていることがわかると思います。

しかし、中央に堂々と鎮座している「目」(本当は「自」ですが)はしっかりはっきりと威厳ある輪郭を保ち続けています。しんにょうの二画目と三画目を大胆に離しているのも中央の「目」の存在感を増している一因かも。

これまでの「道」を振り返りながらも、新しい一歩を踏み出す彼女の凛とした覚悟を表しているかのようです。

 

「一歩踏み出す」というイメージは最終画のはらいのところにも見られます。

足跡の形に沿うようなかたちでリズミカルに段々を作ったあと、最後にピョンと蹴り上げるように跳ねて終筆。
足を力強く蹴り上げるダンスの振り付けのような感じで「さ、やってやるぜ!あたしについてきな!」って大きく踏み出すみたいな。ずっとついていきます。

 

竹内朱莉」という人間

4つの書は全体的に見るとかなり印象がバラバラで、視覚的には結構ガチャガチャした感じになっています。

しかし、どの書にも共通しているのは「基礎を大事にする」ということです。書道では基礎への忠実さがどの程度評価されるのかは分かりませんが、彼女自身は質実剛健な基礎の軸を守った上ではねやはらい、字体などに遊び心を入れることを心掛けているのではないかと思いました。

「基礎を大事にする」姿勢はステージ上でのパフォーマンスにおけるストイックさにも表れており、実際インタビューでも“基本ができていないと崩し方もわからないのは書道とダンスの共通点ですね”と語っていることからも彼女のスタンスが伺えます。

 

しかし先程も言ったとおり、質実剛健な基礎を身体に叩き込んだうえで、それを見せつけすぎず力を抜いて自由な遊び心を入れてくるのが彼女の人間としての大きな魅力です。

はい、わたしは竹内朱莉さんのそういうところが大好きなんですよ。

不言実行、日進月歩、大器晩成。決して華麗なだけではありませんが、墨だらけの人生は彼女にしかない明確な美しさを持っています。彼女は美しいんです。

 

…まとめるとここまで語ってきたように、今回の「人生墨まみれ」には普段自分のことをあまり饒舌に語らない竹内朱莉さんの哲学がそこかしこに詰まっています。

書を通して人生の旅路を一緒に共有させてくれる、なんだかそんな気さえしました。

こんな素晴らしい企画が雑誌の一面に載って誰かに読まれると思うと本当に嬉しくなります。竹内朱莉さんの魅力に気づいてくれる人が1人でも増えてくれたらいいなって勝手に思ったりもします。

 

あと最後に、一つ思ったのは、「これ全部一つの世界観にまとめたらどんな感じになるんだろう」ってことです。
一つのテーマとして『人生』という軸はありますが、インタビューを見てわかる通り「最初に書きたいと思ったものを順番に書いていって、最後に『あ、これは私の人生だ』となった」という流れでできています。さっきも言ったように実際同じ画面にあるとガチャガチャした印象を受けるのは、同じ魂の通った軸を別の方向から描いたものだからでしょう。


この作品たちをほんとの意味で一つの調和の取れた世界に閉じ込めたらどんな感じになるのかな。

もっと具体的に言うと全部個展で見てみたいです。結局そういう願望でした。

でも連載が始まったということは本格的に個展も夢ではなくなってきました。毎月楽しみに待っていたいと思います。

 

ではまた!